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January 31, 2023 at 8:54 amFAQParticipant
燃焼現象を解析する場合、運動量の輸送に加えて、化学種とエネルギーの輸送も解析することになります。さらに、輻射の影響を考慮する場合、解析に考慮する物理モデルも多くなります。 以下では燃焼解析の進め方や解析に関連の設定項目の概要を紹介します。解析の詳細設定方法は、ユーザーズガイド、関連チュートリアルをご参照ください。 1.気相燃焼モデル 気相燃焼モデルは大きく分類しますと、2種類があります。 (1)化学種輸送を解析するモデル 化学種の輸送式を解析します。反応を定義し、反応による化学種の生成/消滅は化学種輸送式のソース項に考慮されます。 ◎有限反応速度モデル(Finite-Rate) ◎有限反応速度モデル/渦消散モデル(Finite-Rate/Eddy-Dissipation) ◎渦消散モデル(Eddy-Dissipation) ◎EDC(Eddy-Dissipation Concept) (2)化学種輸送を解析しないモデル 化学反応を乱流・混合から分離し、混合分率や反応進行度というスカラー量の輸送を解析します。 ◎混合分率の輸送 拡散燃焼モデル(Non-Premixed Combustion)、火炎片モデル(Diffusion Flamelet) ◎反応進行度の輸送 予混合燃焼モデル(Premixed Combustion),C方程式モデル、G方程式モデル ◎部分予混合燃焼モデル(拡散燃焼モデル+予混合燃焼モデル、FGM) 関連ソリューション #2054847 渦消散モデル #2055021 拡散燃焼モデル(Non-Premixed Combustion Model) #2055079 予混合燃焼C方程式モデル(Premixed Combustion C Equation Model) #2055157 予混合燃焼G方程式モデル(Premixed Combustion G Equation Model) #2055385 予混合燃焼ECFM (Extended Coherent Flamelet Model) #2056019 定常拡散火炎片モデル(Steady Diffusion Flamelet) #2056825 化学平衡モデルと定常拡散火炎片モデル #2056826 FGMモデル(Flamelet Generated Manifold Model) 2.物性値 (1)混合ガスの密度 工業用の炉や燃焼器などの燃焼では、密度の変化は圧力よりも温度の影響が大きいため、圧縮性なし理想ガスとして扱うことが十分である場合が多いです。 ◎有限反応速度モデル、渦消散モデル、EDC 圧縮性なし:incompressible-ideal-gas 圧縮性あり:ideal-gas ◎拡散燃焼モデル PDFルックテーブルより計算されます。 圧縮性を考慮するオプション:Compressibility Effects 高速流れでは流れの滞留時間が減少し、温度が下がり、反応率が下がるため、化学平衡の過程が成り立たなくなります。圧縮性流れへの適用は注意する必要があります。 ◎予混合燃焼モデル 乱流亜音速流れにのみ適用できます。 圧縮性なし:premixed-combustion 圧縮性あり:ideal-gas (2)比熱 温度の依存性を考慮する必要があります。 特に総括反応を利用する渦消散モデルでは、中間化学種を考慮せず、熱解離の影響を無視することで、温度場が非現実となります。これを改善するため、化学種の比熱を温度の関数として調整する方法があります。 その一例としてはIFRFの温度多項式は使用可能です。適用範囲などの情報は下記の文献よりご確認ください。 *J.W.Rose ans J.R. Cooper, Technical Data on Fule. Scottish Academic Press, Edinburgh, 1977. IFRF温度多項式の利用方法 1.MaterialsパネルでMixtureを選択 例えば、FLUENTデータベースからmethane-airを選択 2.下記スキームコマンドを実行 (set-ifrf-cp-polynomials ‘Mixtureの名前) 例えば、 (set-ifrf-cp-polynomials ‘methane-air) 3.Materialsパネルの各化学種の比熱を確認 (3)化学種の輸送物性(粘性計算、拡散係数) 一般的に乱流流れでは、乱流が支配的となるため、分子物性は解析結果に大きな影響を与えない事が多いですが、層流燃焼など、分子物性の寄与は無視できない場合、”kinetic theory”を利用することを推奨します。 CHEMKIN transport databaseをインポートすることが可能です。 (4)混合ガスの物性 混合則(ideal-gas-mixing law, mass-weighted-mixing-law)を利用することが可能です。 (5)燃焼ガスの吸収係数 wsggm-domain-basedまたは、wsggm-user-specified(ユーザー指定光路長)を適用します。 WSSGM(Weighted-Sum-of-Gray-Gases Molde)はHottelの実験データを元にカーブフィットの関数式を使用し、燃焼ガスを対象とする吸収係数の自動計算機能です。 WSSGMを利用する場合、混合ガスの中に化学種CO2とH2Oを含める必要があります。 3.化学種と反応と反応計算ソルバー (1)化学種の順番 ◎有限反応速度モデル、渦消散モデル、有限速度モデル/渦消散モデル、EDC N種類の化学種に対して、N-1の化学種の輸送式を解析します。 化学種リストの最後の化学種の質量分率=1-その他の化学種の質量分率の合計から計算されます。 そのため、丸め誤差を避けるため、最も量の多い化学種を化学種リストの最後に置くようにします。 例:燃料と空気が燃焼する場合、N2を化学種のリストの最後に置きます。 (2)反応 ◎渦消散モデル、有限速度モデル/渦消散モデル 総括反応(1段、または2段反応)を利用します。 例、メタンの燃焼反応(総括1段反応) CH4+2O2⇒CO2+2H2O ◎有限反応速度モデル、EDC 素反応を利用します。FLUENTでは反応メカニズムのデータベースを提供していないため、 ユーザーが用意する必要があります。 CHEMKIN 形式の反応メカニズムファイルをインポートし利用することができます。 (3)反応計算ソルバー(Chemistry Solver) 素反応解析には、スティッフ性の問題を回避するには Stiff Chemistry Solver、またはCHEMKIN-CFD Solverを適用することが有効です。 4.ソルバー (1)亜音速燃焼 圧力ベースソルバーを使用します。 定常計算の手法としてCoupledの擬似時間進行法を利用し、計算時間が大幅削減可能なケースもあります。 (2)超音速度燃焼(デトネーション) 密度ベースソルバーを使用します。 5.離散化スキーム メッシュタイプにより、 2次精度での結果が重要となる場合、 1次精度で計算を収束させた後、2次精度への変更を推奨します。 6.緩和係数 ○まずディフォルトの設定で計算を確認します。 ○方程式の残差が増加しつつある場合、関与する変数のURFを小さくしてみます。(0.1ずつ下げます) ○温度の変動により、密度が大幅に変化し、解が不安定となる場合、密度のURL(0.5~1程度)を調整します。 ○化学種輸送を解析する場合、計算初期では計算が不安定な場合、 化学種や、エネルギーのURFを下げて実施しますが、解が安定したら、URFを1に戻して計算します。 ○化学種やエネルギーのURFは1(または1に近い値)で計算が行えない場合、メッシュと計算条件を再検討することを推奨します。 7.計算手順 最初からすべての物理モデルを組み込むと、解析はうまく行かないケースが多くあります。 段階的に実施することを推奨します。 (1)反応を考慮しない流れ場(コールドフロー)の解析 安定的な流れ場をまず求めておきます。 (2)反応を考慮する解析 (1)の結果を反応解析の初期解とします。 燃焼反応を開始させるため、”着火”が必要です。 定常計算での着火=化学種濃度、温度の初期値のパッチ ◎渦消散モデル、有限反応速度モデル/渦消散モデル 反応を開始させるため、反応化学種とともに生成化学種に0以外の値を与える必要があります。 反応を考慮した設定(Reaction⇒Volumetric:on)では、 初期化の際、生成化学種の質量分率に対して、ソルバーが自動的に0.01という値を与えます。 反応なしのコールドフローから計算を実施する場合、上記の化学種に対する初期化が行われませんので、コールドフローの計算後、手動で生成化学種の質量分率をパッチで与えます。 ◎有限反応速度 反応速度は温度に依存しますので、着火条件としては高温をパッチする必要があります。 ◎拡散燃焼モデル 混合分率で温度と化学種濃度を決めますので、高温パッチなど”着火”という操作は必要ありません。 (3)輻射を考慮する解析 流れ場、温度、化学種はいずれも安定的に解析ができた後、輻射モデルを選択し、輻射を考慮した解析を行います。 8.収束判定 残差の傾向、収支、スカラー値のモニターリングの三つから解析の終了を判定します。 ○残差 上昇傾向がなく、安定していること ○収支 計算体系全体の質量とエネルギーの収支が取れていること ○モニターリング 出口境界、または、特定位置にポイントを作成し、そのポイントにおけるスカラー値(温度、化学種濃度)をモニターし、定常計算ではスカラー値は静定していること
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